賭博常習者 園部晃三著

小説を読む醍醐味として、自分ではどうやってもそんな事できないという人生を選択した主人公になったつもりで小説を楽しめる処だと思う。まさにこの小説は、その代表作。 他人のお金を資金に馬券を買う。生活は車中泊。どうしようもなくなったら、車と一緒に海にドボンする覚悟。 民宿に泊まったある日、白髪の精神科医に出会う。 彼の言葉が忘れられない。 『人間は生まれた時は脳は真っ白。それが成長と共に様々なしがらみや使命感で白かった脳に黒い陰りが浸食する。 自分への期待感や成果なんてせいぜい40%あれば上等です。
あとは自分の余力、余暇に残しておかないと、しだいに脳の中が真っ黒になってしまう。
真面目に仕事のことばかり考えていないで、自分に取って実益とは無関係なもの、例えば趣味を楽しむ
とか旅行に行くとか、脳に白い部分を残してあげないと。』
競馬はもうとっくに卒業したと考えていたが、少しだけ競馬をしてみたくなった。
それも調教タイムとか調教具合とか血統は度外視して自分の直観で馬券を買いたくなった。

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