クリフトン年代記 第4部 追風に帆を上げよ ジェフリーアーチャー著

ドン・ペドロによる交通事故に見せかけたセバスチャン暗殺計画は、失敗に終わり、同乗していた自分の息子が命を落としてしまう。怒り狂ったドン・ペドロは、クリフトン・バリントン家への復讐を誓う。第4部は、彼が仕掛けた復讐劇が物語となる。3つの復讐をする。

1.ハリーとエマの養子であるジェシカへの仕打ち。

ジェシカは、稀にみる才能があり、それは絵を描く事だった。コンテストでは、他を寄せ付けず圧倒的な優勝を重ねていた。ある日、ボーイフレンドの家に呼ばれ、ボーイフレンドの母の友人であるバージニアが彼女にジェシカの出生について話をしているのを偶々聞いてしまう。ショックで自分のアパートに帰ったら今度は、自分の作品が、ドン・ペドロの別の息子によってナイフで引き裂かれていた。結局、ジェシカは、失望でドン底に落とされ、自ら命を絶ってしまう。

2.バリントン家創業のバリントン海運の乗っ取りを画策。

-1.株の買い集め(敵対的買収の典型)

ドン・ペドロは、市場を通じてバリントン海運の株を大量に買い集めます。→ 目的は、株主総会で多数派を握り、取締役会を支配すること。

-2. セドリックを利用

セドリックにも株を持たせ、バリントン家に対抗させます。セドリックは表向き「成功した実業家」と見せかけますが、裏ではドン・ペドロの資金で動いています。

-3. 株価の吊り上げ・売り抜けペドロ側は買い集めを繰り返して株価を上げつつ、敵の資金を消耗させる戦術も使います。(小説なので細部は金融的に必ずしもリアルではありませんが、「一気に市場から株を集めて優位に立つ」イメージです)

-4.バリントン家側の対抗策

バリントン側も資金をかき集め、信頼できる仲間や銀行を通して株を買い支えます。→ 「どちらが過半数を握るか」の綱引き状態。

-5. 決定打最後は 議決権の微妙な差

(ペドロ側の裏工作が露見したり、一部の株が無効扱いになるなど)で、バリントン家が辛くも勝利します。つまり「株を使った経営権争奪戦」は失敗し、ドン・ペドロの企みは潰える。

3.バリントン海運の長年の夢であった豪華客船『バッキンガム』の爆破工作

この爆破工作を阻止しようとする”陸軍特殊空挺部隊”とドン・ペドロが大金を投じて雇ったアイルランドの傭兵部隊の駆け引きが面白いです。後もう一歩の処まで陸軍特殊空挺部隊は追い詰めますが、豪華客船『バッキンガム』は、爆破されてしまいます。

ここで第4部は、終わり第5部へ。

余談ですが、前半でソニーの若かりし頃の盛田氏が登場します。

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