半暮刻(はんぐれどき)月村了衛

生まれも育ちも恵まれなかった翔太が”本”と出会い、その魅力に取りつかれ
自分が変わっていく姿に感動しました。人はいつでも変わることができる。

山科翔太と辻井海斗の物語。
山科翔太;
飲んだくれのシングルマザーである母親に育児放棄され、
子供の頃から児童養護施設育ち。
短い期間であるが少年院入所歴あり。定時制高校を中退。
辻井海斗;
父親は経産省で要職を務めているキャリア官僚。
有名私大のG大に在学中。
この二人が「カタラ」というホストクラブで出会う。
このホストクラブ創設者は城有という半グレ。
この二人はイケメンで女性をナンパし、数回のデートで手なずけ
店に誘う。女性に高い酒を飲ませ、ふんだくれるだけ金をふんだくって
もうこれ以上、むしり取れないとなると『風俗』に堕とす。
勇気ある被害者の証言で警察が動き、翔太は過去の履歴から3年の実刑判決を受け、刑務所へ服役する。
一方、海斗は親の力もあって、何の罪にも問われない。

3年後、翔太は出所し、ヤクザになった昔の知合いからデリヘル嬢の送り迎えの運転手になる。
ある日、翔太は一人のデリヘル嬢と出会う。
車中でいつも本を読んでいる。
翔太は彼女(有紀)が読んでいたモーパッサンの『脂肪の塊』を読み、
それがきっかけで読書に嵌っていく。
やがてヤクザを辞め、非正規雇用ながら印刷所で働くようになる。
勿論、外国作品を中心に好きな本を読み漁っていく。

一方、海斗は、アドルーラーという誰もが憧れる企業に入社して7年が経ち、
5年後に控える世界都市博の開催にむけて邁進する。
しかしながら実際の仕事は、政治家や建設業者等の中抜きを調整することが
主な仕事。若手芸能人を広告塔にするが、この芸能人は世間の顔とは正反対の
わがままし放題で、最終的に問題を起こす、
この問題を内々に解決する為に、「カタラ」の創設者で今はヤクザの城有の手を借りる。
何とか問題を隠し通せるようになった時、城有はヤクザの手によって殺される。
こんな裏の仕事で新婚でも中々高級マンションに帰れず、また、マスコミにも
以前カイトは風俗へ売り飛ばすホストクラブに在籍していた事もSNSでバレてしまう。
結局、生まれてきた子供には一回だけ会っただけで、離婚する。

翔太は有紀と結婚し、地味ながら幸せな家庭を築いていく。
最後に、翔太と海斗が会うシーンがあります。
『うん・・・最後に一つ、訊いていいか』
『なんだよ』
『海斗、おまえ、本は読むか』
『本だって?』
『ああ』
『あのね、僕はG大卒なんだ。少なくとも君の百倍は読んでいるよ。』
『そうか・・・・そうだよな』
くだらない。だからあいつは中卒の底辺なのだ。
学歴厨にも読んでもらいたい。
この小説も一気読みでした。本当に海斗は参考書以外に本を読んだのかな?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA